こんにちは、マイクロ法人の顧問実績が豊富な税理士の植村拓真です。
マイクロ法人の設立を考えている方の中には、税理士を雇う必要があるかどうかで悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
マイクロ法人について調べていると「税理士は不要」といった意見を見かけるため、


と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
今回はそんな方に向けて、マイクロ法人で税理士を雇う必要性について依頼時の注意点や費用相場とあわせて解説します。
- マイクロ法人は違法?リスクは?
- サラリーマンにマイクロ法人は必要?
- マイクロ法人のメリット・デメリットは?
- マイクロ法人の給与はいくらに設定するの?
以下の記事で、上記のようなマイクロ法人に関するよくある質問にお答えしています。
マイクロ法人について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
マイクロ法人で税理士が必要なケース
さっそく、マイクロ法人で税理士が必要なケースについてお話しします。
本項目でお話しする内容に当てはまる方は、税理士への依頼を検討してみましょう。

①より適切な節税対策を実施したい
マイクロ法人の設立で節税対策を実施するなら、節税に関する正しい知識が必要です。
万が一、正しい情報元から学んで正しく節税対策を実施できなかった場合、
- 誤った節税を実施して指摘された
- 逆に納税額が増加した
- 節税しきれていない
上記のような状況に陥ってしまいかねないからです。
節税に関する知識が不十分だったり誤っていたりすると、マイクロ法人を設立した意味がなくなります。
そこで、マイクロ法人を設立する際により適切な節税を実施するために、専門家である税理士を雇う方がいらっしゃいます。

ネットや書籍などから得た知識だけでも、マイクロ法人の設立や節税対策の実施、申告を行えます。
しかし、正しい情報源から知識を得て正しく行動できなければ、完璧な節税対策は実施できません。



上記のような方は、税理士への依頼を検討してみましょう。
②売上を伸ばすことに集中したい
税理士なしでマイクロ法人の設立から申告までを行う場合、
- 会社設立の手続き
- 節税対策の実施
- 会計帳簿の作成
- 決算申告
- 年末調整
など
上記の作業をすべて自力でこなさなければなりません。
マイクロ法人の設立から申告までを正確に行う知識と時間があれば、税理士は不要です。
会社設立や会計帳簿の作成であれば、ネットや書籍で情報収集して会計ソフトを活用すれば、ある程度は自力でも正確に行えるでしょう。
しかし、節税対策の実施や決算申告を行うためには、より専門性の高い知識が必要です。
ネットや書籍で調べただけでは、自力で完璧かつ正確に行えない恐れがあります。
事業を行いながら専門知識を勉強して、さらに完璧に節税対策を実施したり決算申告を済ませたりするのは時間がかかりすぎます。


上記のような方は税理士を雇って空いた時間を有効活用して、売上を伸ばすことに集中しましょう。
マイクロ法人の決算申告を自分で行う手順

上記のような方向けに、マイクロ法人の決算申告を自分で行う手順についてお話しします。
主な手順は以下のとおりです。
- 経理や税金について勉強する
- 日々の取引内容を仕訳して会計ソフトに入力する
- 決算申告で必要な書類を用意・作成する
- 決算書や申告書を提出する
- 税金を納める
それでは順番に見ていきましょう。
①経理や税金について勉強する
まず経理や税金に関する知識を習得して、自力でマイクロ法人の決算申告を行えるようになりましょう。
マイクロ法人で正確に仕訳して会計帳簿を作成するには、日商簿記3級程度の知識が必要です。
日商簿記3級に独学で合格するためには150時間ほどかかってしまいます。

しかし、一度日商簿記3級の知識を習得しておけば、自力でマイクロ法人の決算申告を行えるようになります。
税理士報酬分のコストを抑えたい方は、日商簿記3級の資格を取得するか同等の知識を習得しておきましょう。
損益計算書や貸借対照表などは会計ソフトで作成できるので、決算書に関しては読み方を勉強しておきましょう。
②日々の取引内容を仕訳して会計ソフトに入力する
先ほどお話ししたとおり、税理士を雇わない方は会計帳簿を自力で作成する必要があります。
会計ソフトの使い方を勉強して、効率良く仕訳作業を行いましょう。
法人は個人事業主に比べて必要書類の作成が複雑で難しいため、会計ソフトの利用をおすすめします。
③決算申告で必要な書類を用意・作成する
マイクロ法人の決算日を迎えたら、以下の書類を作成しましょう。
- 貸借対照表(B/S)
- 損益計算書(P/L)
- 株主資本等変動計算書
(合同会社は社員資本等変動計算書) - 個別注記表
- 計算書類の附属明細書
- 事業報告書
- キャッシュフロー計算書
- 勘定科目明細書
- 総勘定元帳
- 領収書綴り
総勘定元帳や領収書綴りは提出不要です。
しかし、作成と保管義務があり税務調査で必要になるので、紛失しないように注意しましょう。保管義務の期間は提出期限の翌日から7年間です。
そして、以下の申告書と関連書類も作成しましょう。
- 法人税申告書
- 消費税申告書(課税事業者)
- 地方税申告書
- 法人事業概況説明書
- 税務代理権限証書
申告書は申告ソフトで作成できるので、インストールして作成しましょう。
④決算書や申告書を提出する
決算書や申告書、関連書類を作成したら、管轄の税務署に提出しましょう。
地方税申告書は、都道府県民税は各都道府県税事務所、市町村民税は各市町村役所に提出してください。
各種書類の提出方法は、以下の3種類です。
- 窓口に提出する
- 郵送する
- 電子申告する
⑤税金を納める
マイクロ法人が納める主な税金の種類や納付先、納付期限は、以下のとおりです。
税金の種類 | 納付先 | 納付期限 |
法人税 | 税務署 | 2ヶ月以内 |
消費税(課税事業者の場合) | 税務署 | 2ヶ月以内 |
法人事業税 | 各都道府県税事務所 | 2ヶ月以内 |
法人住民税(都道府県民税) | 各都道府県税事務所 | 各都道府県による |
法人住民税(市町村民税) | 市町村役場 | 各都道府県による |
原則、決算日の翌日から2ヶ月以内に申告から納付までを完了してください。
以上が、マイクロ法人の決算申告を自分で行う手順です。
マイクロ法人で税理士に依頼する際の注意点


上記のような方は、税理士への依頼を検討しましょう。
ただし、税理士に依頼する際にはいくつかの注意点があるので、本項目で紹介しておきます。
①対応可能な業種に注意する
マイクロ法人に限らず税理士を雇う場合は、対応している業種に注意しましょう。
税理士によって対応している業種が異なるからです。
ご自身の業種に対応していない税理士に依頼してしまうと、断られて新しい税理士を探さなければなりません。
スムーズに税理士を雇うためにも、事前に事務所のホームページで対応業種を確認しておきましょう。
②マイクロ法人や会社設立に対応していないケースもある
マイクロ法人で税理士を雇う際は、マイクロ法人に対応しているかを確認しましょう。
すべての税理士事務所、会計事務所が対応しているとは限りませんし、依頼を断られるケースもあるからです。
また、会社設立から税理士に依頼する際は、会社設立サポートを行なっているかも確認しましょう。
会社設立サポートを行なっている税理士事務所、会計事務所であれば、会社設立の手続きだけでなく他士業への依頼も含めて代行してくれます。
マイクロ法人の設立から税理士に依頼したい方は、マイクロ法人の対応と会社設立サポートを行なっているかを確認しましょう。
マイクロ法人で税理士を雇う際の費用相場
最後に、マイクロ法人で税理士を雇う際の費用相場についてお話しします。
マイクロ法人で税理士を雇うだけであれば、約10万~20万円が費用相場です。
売上や業種、取引量によって変動するので、問い合わせ時に見積もりをお願いしておきましょう。
繰り返しになりますが、税理士を雇う際は費用だけでなく、対応業種や相性なども考慮しましょう。
自社の業種に対応していなければ断られますし、相性が悪ければ雑に対応されてしまいます。
税理士を探し直す時間がもったいないので、税理士を選ぶ際は費用だけでなく、他の要素も確認して慎重に依頼するかを検討しましょう。


税理士を雇う際の注意点については、以下の記事で詳しくお話ししています。
結論:売上を伸ばすことだけに集中したいなら税理士は必要
今回は、マイクロ法人で税理士を雇う必要性について依頼時の注意点や費用相場とあわせて解説しました。
マイクロ法人で税理士を雇うかどうかは、時間や安心をお金で買って事業に集中したいかどうかで判断しましょう。
- 税理士に任せて事業に集中したい
- 適切に節税対策を実施して決算申告を行う自信がない
上記のような方は、マイクロ法人に対応している税理士に依頼しましょう。
また、税理士を雇えば節税対策や決算申告などを任せられるのはもちろん、普段から税務相談を行えますので、インボイス制度のような新制度にスムーズに対応できます。
弊所はマイクロ法人の顧問実績、インボイス制度のような新制度の対応実績が豊富です。
今後のために相談できる税理士をお探しの方は、お気軽に弊所までお問い合わせください。