「〇〇社、数十億円の脱税!」
「芸能人の〇〇氏、数億円の申告漏れ!」
「◯◯社長、数千万円の所得隠し!!」
みたいなニュースが定期的に世間を騒がせていますが、こういうニュースを見るたびに
「ああ、税金からは絶対に逃げられないんだな・・・」
と税理士ながら思います。
と同時に、
「脱税なんて後で絶対にバレるのに、なんで皆やっちゃうんだろう?」
と不思議に思います。
いかがでしょう、あなたはきちんと確定申告出来てますか?
いくら「税金なんて払いたくない!」と思っても
憲法という日本国の最高法規で
『国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。』
と定められている以上、稼いだら相応の税金を納めなければなりません。
『税金=日本という国の使用料』と考えておくのが良いかもしれませんね。
それでは、無申告がバレた際の末路について解説していきます。
無申告がいずれバレる理由
基本的に、お金をもらった側が収入を申告しなくても、お金を支払った側は『この人にお金を支払った』と申告しているわけです。
会社やバイト先から支払われた給料については『給与支払報告書』という書類が支払元から個人別に市区町村に提出されますし、諸々の報酬の支払いについては『支払調書』という書類が支払元から税務署に提出されます。
だから、これらの書類を確認すればすぐに
「あ、この人収入があるはずなのに申告されてないぞ!」
と間接的にバレるのです。
もちろんこれは無申告がバレるケースの一例で、他にも
・税務署へのタレコミ
・国税庁の重点施策
・取引先に税務調査
・請求書や領収書などの証憑
などのケースがあります。
特に個人事業主で「税務署がわざわざ個人の少額の追徴課税を狙ってこないだろう」と勘違いされている方が多いのですが、
確定申告をしないということは脱税すなわち犯罪ですので、基本的に見逃されることはないと思って下さい。
駄菓子屋さんで数十円のお菓子を万引きしたとして、「少額だから見逃してよ~」という主張が通ると思いますか?
思わないでしょう。
それと同じで、金額の多寡に関係なく、確定申告をしないのは犯罪なのです。
とまあ少し厳しいことを書いてしまいましたが(笑)
とんでもなく悪質な所得隠しや脱税をしていない限りは、確定申告をしていないからといっていきなり逮捕されることはないでしょう。
とはいっても、いつまで経っても確定申告をしていなかったら、それはそれで相応のペナルティがあるわけです。
では、もし確定申告をしていなかったら一体どうなるのか。
確定申告が必要なケースから、順を追って見ていきましょう。
そもそも確定申告が必要なケースとは?
「今すぐ確定申告しなきゃヤバい!」
と慌てる前に、そもそも自分は確定申告しなければいけないのかを確認しておきましょう。
稼いでいるからといって、全員が確定申告する必要はありません。
各ケースにわけて簡単に解説するので、参考にしてみてください。
個人事業主で所得が基礎控除額+経費を上回る
フリーランスや自営業の方で、1年間の所得が基礎控除額の38万円+社会保険料控除を上回る場合、確定申告する必要があります。
基礎控除額と支払った国民健康保険料や介護保険料などの合計金額を、1年間の所得から差し引きましょう。
金融商品取引や不動産収入などが38万円を上回る
株取引やFX、不動産などで1年間の利益が38万円を上回る場合、原則として確定申告が必要です。
源泉徴収選択口座や非課税投資枠内(利益120万円まで)で取引している場合は、不要となります。
一時所得が支出額+特別控除額50万円を上回る
パチンコや競馬などで稼いで一時所得が50万円を超える場合は、確定申告しましょう。
他にも懸賞や生命保険の満期保険金、投資信託の分配金なども、一時所得に該当します。
所得税が軽減もしくは免除されている
天災の被害にあっており所得税が軽減、免除されている方は、確定申告が必要です。
万が一に備えて、覚えておくといいでしょう。
公的年金の受給額が所得控除額を上回る
公的年金を受給していて、金額が所得控除額を上回る方は確定申告してください。
ただし、以下のすべての条件に当てはまる方は、確定申告が不要です。
・他の所得が20万円を超えていない
・公的年金の源泉徴収を受けている
退職所得の受給に関する申告書を提出していない
退職所得がある方で、以下の内容に該当する方は確定申告しましょう。
・年末調整をしていない
・給与以外の所得が20万円を上回る
あくまで一例ですが、確定申告する必要があるケースは以上のとおりです。
確定申告について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
無申告がバレると税務署から連絡が来る
確定申告をせずに放ったらかしにしていたら、一定のタイミングで税務署から連絡が来ます。
電話で連絡が来る場合もあるし、あるいは直接事務所や自宅に税務署の担当者が来ることもありますが、無申告のままでいたら、いつか必ず税務署から連絡が来ると思っておいて下さい。
そして、税務署の担当者からこう聞かれるのです。

こうなってしまったらもう無駄な抵抗はやめて、素直に「はい…」と認めましょう。
そもそも、税務署も確定申告がなされてないことを知ってて連絡していますし、素直に認めなかったり無申告の事実を隠蔽したりすると、あとで高額の追徴課税を納める羽目になるので。
で、基本的には連絡が来た当日にいきなり詳細な調査とか手続が始まるわけではないですが、
近いうちに面談や申告していなかった年度分の確定申告作業をするので、その案内を受けてその日は終了です。
税務署で面談・確定申告作業を行う
確定申告の無申告がバレた数日後、以下の必要書類を持参して税務署に行くことになります。
・通帳
・ネットバンキングのデータ
・銀行口座の入出金が分かる書類
・印鑑 など
そして、担当者と一緒に確定申告作業を行います。
クレジットカードの明細書や銀行口座の入出金データなどを見ながら、
担当者が
「この入金は事業の売上か?」
「家で仕事をしているか?」
「その場合は仕事とプライベート、どれくらいの割合で使用しているか?」
などを質問してきます。
ここでも収入を隠そうとしたりウソを付いたりすると、あとで高額な追徴課税が請求されてしまうので、正直に答えておきましょう。
所得税・追徴課税の決定
確定申告の作業が終わると、所得の確定金額をもとに所得税と追徴課税の金額が決定されます。
所得税は本来、確定申告のときに納めるべきだった税金です。
そして、追徴課税は確定申告が遅れたペナルティとしてかかる税金のことを指します。
無申告の場合にかかる追徴課税は以下のとおりです。
・延滞税
・重加算税(悪質な隠蔽、偽装があった場合のみ)
無申告加算税は期限内に申告しなかったことに対して課される税金で、本来納めるべきだった所得税の金額に対して15~20%が課されます。
延滞税は税金を滞納した期間にかかる利息のような税金で、本来納めるべきだった所得税の金額に対して年7.3~14.6%がかかります。納付が遅れるほど高額になってしまう、恐ろしい税金です…。
重加算税は悪質な隠蔽や偽装があった場合に課される税金で、無申告の場合は本来納めるべきだった所得税の金額に対して40%も課されてしまいます。
税務署の担当者の質問に素直に答えなかった場合も、課される可能性がありますね。
これらの追徴課税と申告しなかった数年分の所得税を一気に支払わなければいけないので、個人事業や会社の資金繰りに大打撃を与えかねません…。
無申告がバレるか不安な方は早めにご相談を!
以上、無申告がバレる仕組みと、確定申告しなかった場合の末路について解説してきました。
まとめると、
・確定申告しなくてもどうせ税務署にバレている
・結局どこかのタイミングで確定申告しなきゃいけない
・確定申告が遅れると余計な追徴課税を払わなければならない
・それだったら最初から確定申告しといた方が得ですよね
ということです!
『確定申告をサボる』という選択肢は、短期的に見れば楽なのかもしれません。
しかし、長期的に見れば明らかにデメリットの方が大きい、すなわち割に合わない行為です。
というわけで、余裕のあるうちに確定申告の準備を進めておきましょう。
「確定申告したいけど何をどうすればいいの?」
「確定申告の無申告がバレないか不安だ…」
そんな方は、お気軽にご相談ください。