【確定申告で得する14の例】控除制度を活用する方法について解説

確定申告と聞けば、お金が減ると真っ先に考える方が多いのではないでしょうか。
所得税や住民税、復興特別所得税など、納めなければならない税金が多いですからね。

さらに確定申告は手続きが複雑で難しいため、億劫になっている方もいるでしょう。

しかし、確定申告はお金が減るばかりではありません。
還付申告を行えば、今までに支払ったお金が返ってくる方もいるのです。

今回は、確定申告で得する14の例と控除制度を活用する方法についてお話します。
個人事業主や法人だけでなく、サラリーマンの方も得するケースがあるので、確認してみましょう。

【確定申告で得する?】そもそも必要がある人とは?

【確定申告で得する?】そもそも必要がある人とは?

控除制度の前に、そもそも確定申告とは何なのかについてお話しておきます。

確定申告とは、一年間の収入・支出・所得などを計算して、合計金額に応じた所得税を税務署に申告・納税する作業のことです。
所得は、年間の収入からさまざまな控除を引いて計算します。

給与所得者の方であれば、会社から年末調整を受けられるため、確定申告は不要です。
税金関係の心配が一切不要なので、翌年に確定申告の手続きに追われることはありません。

しかし給与所得者の方でも、確定申告しなければならないケースがあります。
そこで本項目では、確定申告する必要がある人の条件を解説します。

以下の内容をご覧ください。

・給与収入が年間2,000万円超え
・所得の合計が20万円超え(給与、退職所得を除く)
・2か所から給与所得を受けている
・途中退職により年末調整を受けていない
・住宅ローン控除を受けて1年目
・医療費控除などを受けている
・6ヵ所以上の自治体にふるさと納税している
・外国企業から退職金を受け取っている
・公的年金等に係る雑所得がある(所得控除を差し引いて残額がある場合)
・株式や不動産投資などの所得がある(所得控除を差し引いて残額がある場合)

給与所得者の方であっても、年間の給与収入が2,000万円を超えるなどの場合、確定申告が必要です。
サラリーマンだからといって不要なわけではないので注意しましょう。

一方住民税は、退職した方でも前年に所得がある場合、支払わなければならないケースがあります。
ですので、退職時に『翌年住民税を納税する』と念頭に置いておきましょう。
原則、税務署から住民税の納税通知書が届くので、記載されている期限までに納税してください。

確定申告について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

確定申告が初めての方へ|概要・やり方について税理士が解説

確定申告で得する条件・受けられる所得控除の例

確定申告で得する条件・受けられる所得控除の例

給与所得者の方でも、確定申告が必要なケースもあると解説しました。
『サラリーマンだし確定申告とは無縁』と考えている方は注意しましょう。

ここからは、確定申告で得する条件と受けられる所得控除の例を紹介していきます。
確定申告で納める税金を減らせるので、ぜひ確認しておいてください。

本項目で紹介する内容は、以下のとおりです。

控除を受ける条件・特徴 受けられる控除
誰でも一律48万円の控除を受けられる 基礎控除(申告不要)
給与所得者は一律20万円の控除を受けられる
(公的年金等に係る雑所得は年400万円以下まで申告不要)
雑所得の控除(申告不要)
年末調整に間に合わない分を還付申告 生命保険控除
年末調整に間に合わない分を還付申告 地震保険料控除
合計所得が1,000万円以下で配偶者の所得が48万円以下なら控除を受けられる 配偶者控除
配偶者の所得が48万円超え133万円以下の範囲なら、所得に応じて控除を受けられる 配偶者特別控除
医療費・通院交通費(付き添い人含む)・薬代が年間10万円以上 医療費控除
配偶者以外の扶養家族が増えた場合、48万円以上の控除を受けられる
年末調整に間に合わない分は還付申告
扶養控除
特定の組織や団体に寄付、6つ以上の自治体にふるさと納税する 寄附金控除
持ち家を購入・リフォームする際に住宅ローンを組んだ初年度 住宅ローン控除
盗難や災害などにあった際に受けられる控除 雑損控除
サラリーマンで仕事の費用を負担している 特定支出控除
自身や生計をともにする親族の保険料を支払うと全額を控除できる 社会保険料控除
確定拠出年金の掛金を支払うと控除を受けられる 小規模企業共済等掛金控除

それでは、具体的にどのような人が確定申告で得するのか、控除があるのかを見ていきましょう。

年末調整時に控除を申告できなかった

『年末調整時に控除を申告できなかった!』
『控除証明書の提出が間に合わなかった!』

そんなサラリーマンの方は安心してください。
翌年に還付申告を行えば、以下の控除を受けられます。

控除を受ける条件・特徴 受けられる控除
年末調整に間に合わない分を還付申告 生命保険控除
年末調整に間に合わない分を還付申告 地震保険料控除
合計所得が1,000万円以下で配偶者の所得が48万円以下なら控除を受けられる 配偶者控除
配偶者の所得が48万円超え133万円以下の範囲なら、所得に応じて控除を受けられる 配偶者特別控除

会社で受けられる年末調整は、12月初旬に処理されてしまいます。
ですので

『生命保険控除、地震保険控除を受け損ねた!』
『それ以降に家族が増えた!』

そんな方は、翌年に還付申告を行って控除を受けましょう。

年末調整までに退職している

年末調整を受ける前に退職したサラリーマンの方も、翌年に確定申告を行いましょう。
確定申告を行うメリットは、以下のとおりです。

・源泉徴収で支払った所得税が一部戻ってくる可能性がある
・申告できなかった地震保険料控除などの所得控除を受けられる

また、再就職したものの年末調整を受けられていない方も、確定申告を行えば控除を受けられます。
退職した会社からもらった給与所得の源泉徴収票の原本を用意して、還付申告を行いましょう。

医療費控除|年間の医療費が10万円以上

怪我の治療費や入院費などが年間10万円以上かかっている場合、翌年に還付申告を行えば医療費控除を受けられます。
受けられる医療費控除の金額は、以下のとおりです。

1年間にかかった医療費 – 受け取った給付金や保険金 -10万円 = 医療費控除の金額

医療費控除の限度額は200万円です。
そして、以下の費用も医療費控除の対象となります。

・通院にかかった交通費(付き添い人含む)
・処方された薬代
・薬局で購入した薬代(セルフメディケーション制度対象の場合)

セルフメディケーション税制は、予防接種や健康診断を受けている方が対象の制度です。
OTC医薬品(税控除の薬)の購入額が年間1万2,000円を超える場合、最高8万8,000円まで控除を受けられます。

医療費控除とセルフメディケーション税制は、同時に利用できないので注意しましょう。
還付申告を行う際は、医療費控除の明細書やセルフメディケーション税制の明細書を準備しておいてください。

扶養控除|扶養家族がいる、子供に仕送りをしている

配偶者以外に扶養する家族が増えた場合、扶養控除を受けられる可能性があります。
控除額は扶養する家族の年齢によって異なり、38万~68万円となっています。

19~23歳の扶養家族がいる場合、控除額は63万円です。
通学のために親元を離れている子供に仕送りをしている場合も、控除対象となります。

ただし、子供が年間103万円超え~130万円以下の収入を得ている場合は、扶養控除の対象外です。
代わりに勤労学生控除が適用されるので

給与所得控除55万円 + 基礎控除額48万円 +勤労学生控除27万円 =130万円(控除額)

となり、子供の収入に所得税はかかりません。

また、75歳以上の扶養家族がいる場合、48万円(同居なら58万円)の控除を受けられます。
親族関係書類および送金関係書類を準備して、還付申告を行いましょう。

寄附金控除|組織や団体に寄付、6つ以上の自治体にふるさと納税

国が定めている法人や国・地方自治体などに寄付をすると、寄付金控除が受けられます。
控除額は以下のとおりです。

・1年で支出した特定寄附金の合計金額
・1年の総所得金額などの40%相当額
上記のどちらか低い方から2,000円を引いた金額

サラリーマンの方は、6つ以上の自治体にふるさと納税したら、確定申告を行ってください。
5つ以下の自治体にふるさと納税した場合は、寄付金控除に係る申告特例申請書を寄付した自治体に納付しましょう。
ワンストップ特例制度を活用できるので、確定申告を行わなくても寄附金控除を受けられます。

個人事業主や法人の方は、ワンストップ特例制度を活用できません。
確定申告を行えば、住民税決定通知書に記載されている住民税所得割額の2割程度を上限に控除を受けられます。

還付申告を行う際は、以下の書類を準備しましょう。

・寄付した団体が発行した領収書
・証明書類
→地方独立行政法人法第6条第3項に規定する設立団体であることを証する書類の写し
→特定公益増進法人であることの証明書の写し
→特定公益信託であることの認定書の写し など

住宅ローン控除|住宅ローンを組んだ初年度

住宅ローンで新築を購入・リフォームした方は、一定の要件を満たせば住宅ローン控除を受けられます。
年間で最大40万円の控除を、10年間にわたって所得税から引かれ続けます。

確定申告を行う必要があるのは、初年度のみです。
2年目以降の住宅ローン控除は、年末調整で処理されます。

還付申告を行う際は、以下の書類を準備しておきましょう。

・住民票
・請負契約書
・売買契約書
・家屋の登記事項証明書
・給与所得の源泉徴収票
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・年末残高等証明書(住宅取得資金にかかわる借入金のもの)

雑損控除|盗難や災害などの被害にあった

雑損控除とは、盗難や災害などの被害にあった際に受けられる控除のことです。
被害が大きく1年で控除しきれない場合は、最大3年間繰り越して控除を受けられます。

雑損控除の金額は、以下の内容で一番多いものが適用されます。

・損害額 – 総所得金額 x 10%
・倒壊した住宅などの撤去にかかった費用 – 5万円

被害関連の支出に関する領収書を準備して、還付申告を行いましょう。

社会保険料控除|自身や生計をともにする親族の保険料を支払う

社会保険料控除は、公的年金の保険料や健康保険を支払った方が対象の控除です。
支払った金額の全額が控除の対象となります。

生計をともにしている家族の保険料も控除対象なので、忘れずに申告しましょう。
支払額を確認できる明細書を保管して、還付申告時に添付・提示してください。

【還付申告】確定申告で得するための手順

【還付申告】確定申告で得するための手順

それでは、確定申告で得するための手順について解説します。

還付申告を行って、納めすぎた所得税や復興特別所得税を還付してもらいましょう。
確定申告を行うと還付申告も完了するので、手続き不要です。

還付申告の期限は、申告した年の翌年の1月1日から5年間です。
確定申告のように短期間ではないので、覚えておきましょう。

還付申告を行うには、まず先ほど紹介した必要書類を準備してください。
そして、以下のものも準備しておきましょう。

・通帳
・印鑑
・マイナンバーカード
・身分証明書(運転免許証など)

還付申告を行う際、確定申告書を提出します。
確定申告書を作成して、必要書類を添付・提示しましょう。

確定申告については以下の記事で詳細をご覧ください。

確定申告が初めての方へ|概要・やり方について税理士が解説

『確定申告がよくわからない…』
『面倒だから丸投げしたい!』

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