こんにちは、アフィリエイトの顧問実績が豊富な税理士・植村拓真です。
アフィリエイトで売上が順調に伸びている個人事業主の方は、



上記のように考えているのではないでしょうか。
弊所では、同じような内容のお問い合わせに対応させていただく機会が多いです。
今回は、上記のような疑問をお持ちの個人事業主の方に向けて、アフィリエイトで法人化(会社設立)する必要性と後悔しないタイミングについて解説します。
アフィリエイトで法人化(会社設立)するメリット【必要性】

アフィリエイトでも、上記のように考える個人事業主の方が多いです。
では、売上が伸びて法人化(会社設立)すると、どんなメリットがあるのでしょうか。
本項目では、アフィリエイトで法人化(会社設立)するメリットについて解説します。
ご自身にとって、アフィリエイトで法人化(会社設立)する必要があるかどうかを確認してみましょう。
①税金面が圧倒的に有利
アフィリエイトを含めたさまざまな業種で、売上が伸びたら法人化(会社設立)を検討すべきと言われています。
あなたもどこかで、見たり聞いたりした覚えがあるのではないでしょうか。法人化(会社設立)を検討する大きな理由の一つが、税金面で圧倒的に有利な点にあります。
個人事業主の所得税率は、売上を伸ばすほど増加します。以下の超過累進課税が適用されるからです。
課税対象の所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円未満 | 5% | 0円 |
195万円以上 ~ 330万円未満 | 10% | 97,500円 |
330万円以上 ~ 695万円未満 | 20% | 42万7,500円 |
695万円以上 ~ 900万円未満 | 23% | 63万6,000円 |
900万円以上 ~ 1,800万円未満 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円以上 ~ 4,000万円未満 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
一方、法人税率は以下のように所得により変動します。(普通法人の場合)
所得が大きくなるのであれば、法人化(会社設立)したほうが税率を抑えられるわけです。
そして、個人として法人から役員報酬を受け取れば、給与所得控除の恩恵を受けられます。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 |
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円 ~ 1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円 ~ 3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円 ~ 6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円 ~ 8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
(注) 同一年分の給与所得の源泉徴収票が2枚以上ある場合には、それらの支払金額の合計額により上記の表を適用してください。
引用:(国税庁 No.1410 給与所得控除)
さらに、法人としては支払った役員報酬を経費扱いできます。役員報酬を活用した節税の詳細については、以下の記事をご覧ください。
他にもまだまだ税金面で有利な点はありますが、紹介しきれないのでまとめておきます。
- 税率を抑えられる
- 給与所得控除を受けられる
- 役員報酬を経費扱いできる

②社会的な信用を得られるので事業を拡大しやすい
個人アフィリエイターが法人化(会社設立)すると、今よりも社会的な信用を得られます。
社会的な信用を得られる主な理由は、以下のとおりです。
- 法務局で役員や会社の情報を閲覧できる
- 会社設立費や維持費などのコストをかけて事業を行なっている
- アフィリエイターだけでなく代表取締役とも名乗れる
法人は、すぐに廃業できてほぼコストがかからない個人事業主に比べると、やはり堂々と本気で事業に取り組んでいて信用できると判断されやすいです。

そして、法人化(会社設立)で社会的な信用を得れば、金融機関の融資の審査に通りやすくなります。
もちろん、決算書や事業計画書などの内容次第ですが、個人事業主よりも融資に通る確率は高いです。
金融機関の融資で資金を集めれば、優秀な人材を雇って事業を拡大させて、さらに売上を伸ばせます。
また、法人でなければ取引しない企業もあるので、法人化(会社設立)は新たな取引先の確保にもつながります。
事業を拡大させて売上を伸ばしていくなら、法人化(会社設立)は避けられないでしょう。
③経費扱いできる費用が増える
個人事業主が法人化(会社設立)すると、経費扱いできる費用が増えます。法人で経費扱いできる費用は、以下のとおりです。
- 役員報酬
- 社宅の家賃
- 退職金
- 出張手当
- 交際費
- 寄付金
など
さまざまな条件をクリアする必要はありますが、常識の範囲内であれば上記の費用は経費扱いできます。

とはいえ、法人なら個人事業主よりも経費扱いできる費用が多いのは明らかです。
売上が伸びてきたので節税対策を徹底したい、そんな個人アフィリエイターの方は法人化(会社設立)を検討してみましょう。
法人の節税対策については、以下の記事で詳しく解説しています。
④最大10年間赤字を繰り越せる
個人事業主で青色申告を行なっている方は、年内に生じた損失を翌年から3年間繰り越せます。
一方、法人で青色申告を行なっている方であれば、事業年度内に生じた欠損金を翌事業年度から10年間繰り越せます。

(注) 平成30年4月1日前に開始した事業年度において生じた欠損金額の繰越期間は9年です。
引用:国税庁(No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除)
なお、赤字を繰り越す際は、赤字が発生した事業年度から欠損金の繰越控除を受ける事業年度まで、赤字について記載した書類を申告書と一緒に提出してください。
個人事業主か法人かは関係ありません。
アフィリエイトで法人化(会社設立)する際の注意点
アフィリエイトで法人化(会社設立)する前に、メリットだけでなく注意点も確認しておきましょう。
本項目で紹介する内容は、以下のとおりです。
- 会計処理が複雑になる
- 社会保険の加入義務がある
- 会社設立・維持・解散で費用がかかる
- 役員報酬の金額は原則1年に一回しか変更できない
- 消費税の免税事業者になるかはインボイス制度を考慮
それでは、順番に見ていきましょう。
会計処理が複雑になる
個人アフィリエイターとして事業を行うなら、翌年に確定申告を行えば問題ありません。稼いで申告して納税すれば、問題なく事業を継続できます。
一方、法人アフィリエイターは、会社設立や専門知識を要する会計処理などを行わなければなりません。
ご自身で調べて決算書を作成できるようになれば問題ありませんが、その分事業にかける時間が減ってしまいます。
ですので、法人化(会社設立)する際に税理士を探す方が多いです。事務所にもよりますが、税理士に依頼すれば法人設立の手続きを行なったり司法書士を探したりする手間が省けます。
弊所でも、会社設立からその後のサポートまでを承っております。ネットビジネス・IT業の顧問実績が豊富ですので、お気軽にご相談ください。
社会保険の加入義務がある
個人アフィリエイターの方は国民健康保険に加入していると思いますが、法人化(会社設立)すると社会保険の加入義務が発生します。
保険料は会社と社員で半分ずつ負担するため、一人社長の場合はご自身のみで支払います。

社会保険料は、役員の年齢や都道府県、受け取っている役員報酬の金額によって変動します。
全国健康保険協会の令和4年度保険料額表で簡単に確認できるので、参考にしてみてください。
弊所では、顧問契約を結んでいただいた方に、状況に応じた適切な役員報酬の金額設定をご提案させていただいております。
顧問税理士を雇って節税対策を徹底したいと考えている方は、ネットビジネス業の顧問実績が豊富な弊所までお気軽にご相談ください。
会社設立・維持・解散で費用がかかる
先ほど、法人は個人事業主よりもコストをかけて事業を行なっているため、社会的な信用が高いと解説しました。
本項目では、法人化(会社設立)でどんな費用がかかるのかについて解説します。
会社設立費は以下のとおりです。電子定款なら収入印紙代の4万円はかかりません。
- 株式会社:約25万円
- 合同会社:約10万円
そして、法人の維持費は以下のとおりです。赤字でもかかる費用なので注意しましょう。
- 法人住民税の均等割:7万円
- 社会保険料:年齢、役員報酬の金額、都道府県などにより変動
最後に、法人を解散する際にかかる費用です。
- 解散の登記費用:3万円
- 清算人選任の登記費用:9,000円
- 官報公告掲載料:約3万円
- 司法書士の依頼料:約10万円(依頼する場合)
法人化(会社設立)する際は、上記の会社設立から解散までにかかる費用を確認しておきましょう。
役員報酬の金額は原則1年に一回しか変更できない
役員報酬の金額は、原則1年に一回しか変更できません。
金額を上手く設定すれば節税につながりますが、下手に設定すれば税金を払い過ぎてしまいます。
役員報酬の金額を上げた事業年度の売上が下がると、個人の所得税や住民税が割高になります。
そして、役員報酬の金額を下げた事業年度の売上が上がると、法人税が割高になってしまうわけです。

弊所でも、役員報酬の相談から、顧問契約と法人化(会社設立)のセットでご依頼いただくケースが多いです。
消費税の免税事業者になるかはインボイス制度を考慮
法人化(会社設立)には最大2年間、消費税の納税が免除されるメリットがあります。
さまざまなサイトで上記のように紹介されているのを、見かけたことがある方もいらっしゃるでしょう。
しかし、インボイス制度の導入を考慮すると、消費税の免税事業者となるのはメリットとは言えません。
インボイス制度の詳細は省きますが、ご自身が消費税の免税事業者である場合、取引先は仕入税額控除を受けられないからです。
インボイス制度の導入から6年間は、経過措置として一定割合の仕入税額控除を受けられますが、取引先から取引を断れる可能性はゼロではありません。
ですので、法人化(会社設立)を検討する際は、必ずインボイス制度について確認しておきましょう。
インボイス制度と法人成りの関係と対策について、以下の記事で詳しく解説しています。
アフィリエイトで法人化(会社設立)する目安とベストタイミング
先ほど、法人化(会社設立)するとさまざまな費用がかかると解説しました。
会社設立や維持だけでなく、解散時にも費用がかかります。
税理士や司法書士といった専門家に依頼すると、さらに数十万円かかります。
そのため、売上が少ない個人アフィリエイターが法人化(会社設立)すると、会社を維持できずに事業継続が困難な状況に陥ってしまいかねません。
そこで考えるのが、法人化(会社設立)する目安とベストタイミングです。
個人事業主が法人化(会社設立)を検討する主な目安とタイミングは、以下のとおりです。
- 年間の利益が800万円を超える
- 課税売上高が1,000万円を超える
順番に見ていきましょう。
利益が安定して年間800万円を超える
個人事業主として安定して年間800万円稼げる場合、法人化(会社設立)を検討する方が多いです。
利益が安定して年間800万円を超えると、会社でかかるコストを考慮しても、個人より法人のほうが納税額を抑えられるケースがあるからです。
課税売上高が1,000万円を超える
先ほど解説したとおり、課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の納税事業者となります。
そこで消費税の納税を先延ばしするために、法人化(会社設立)を検討する方が多いです。
ただし、インボイス制度が導入されたあとは、法人化(会社設立)するうえでベストタイミングだといえなくなります。
また、アフィリエイト以外の収入や役員報酬の金額などによって法人化(会社設立)のベストなタイミングが異なるので、いずれ税理士を雇う予定がある方は、早めに相談しておきましょう。
アフィリエイトで法人化(会社設立)する際に税理士は必要?
アフィリエイトで法人化(会社設立)する際、顧問税理士をつける方が多いです。
簡単に理由を説明すると、売上を伸ばすことだけに集中できるからです。
会社設立や専門知識を要する会計処理など、ご自身で済ませようとすると複雑でかなり時間がかかります。
自力で会社設立を済ませる方は珍しくありませんが、決算書の作成を済ませる方はあまり見かけません。
顧問税理士をつける主なメリットとしては、以下のような内容が挙げられます。
- 決算申告をスムーズに行える
- 資金調達について相談できる
- 税務調査に対応してもらえる
- 節税対策を徹底してもらえる
一方、デメリットとしては、毎月数十万円の税理士報酬が発生する点が挙げられます。
法人化(会社設立)は売上が伸びて安定してからだと言える理由の一つですね。
アフィリエイトで稼ぐことだけに集中したい、顧問税理士をつける余裕がある方は、税理士への依頼を検討してみてください。
アフィリエイターの税理士選びや法人化における税理士の必要性については、以下の2つの記事で詳しく解説しています。
まとめ:ネットビジネス業の法人化(会社設立)は植村会計事務所にお任せください
今回は、アフィリエイトで法人化(会社設立)する必要性と後悔しない会社設立のタイミングについて解説しました。
法人化(会社設立)にはメリットだけでなく注意点・デメリットもあることを理解したうえで、検討してみてください。
誰でも法人化(会社設立)のメリットを享受、会社を維持できるわけではありません。
法人化(会社設立)すべきなのは、売上が伸びており安定している方です。
また、税理士には得意分野があるので、探す際はアフィリエイトやネットビジネス業の顧問実績が豊富かどうかに注目してみてください。
弊所のようにアフィリエイトやネットビジネス業の顧問実績が豊富だと、事業に関する細かい説明は不要ですし、節税対策を徹底してもらえます。
個人アフィリエイターの方で法人化(会社設立)すべきか迷っている、検討している方は、お気軽に弊所までご相談ください。